物理に関する小文
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昔、とある雑誌に連載をしていたものです。今から見ると、あちこち若気のいたりのような部分があり、恥ずかしい。
当時は、受験雑誌にのっているような、型どおりの狭苦しい説明やどうでもいいような枝葉末節な知識、なにより「物理をいきいきと語る」人が少ないことに、ずいぶんといらいらしていたので、原稿の依頼を受けて懸命に書いていました。今からみると、詰めが甘く、もう少しじっくりと取り組むべきネタどもであった、と反省しています。と同時にこれらを博士1年という研究者として重要な時期に書いていたことに少々感慨を覚えます。うーむ、昔から無謀だったかな?
もともとはこの文章は高校生を目指して書いてきました。しかし、内容の心意気からして、大学生が物理をもう一度見直す意味で読んでみてもよいかもしれません。
なお、これらの文章は、出版社への原稿として書かれたもので
あり、実際に出版されたものとは若干異なります。また著作権は 放棄していませんので、著者に無断で文章を利用することは
禁止します。
全部で13章あります。少しずつアップするので気長にまっていてください。(そんな人いないか、、、)
(数式のお約束) aの二乗はa^2、平方根は√a、そしてa_1は下つき添え字を表しています。
(レベルについて) ☆=誰でも読めるくらいやさしい、☆☆=対応する分野の知識があればわかる、
☆☆☆=対応する知識があってもやや難しい、☆☆☆☆=難攻不落
- 第一章、光学における最小化問題(変分原理)
レベル☆☆ (微分の知識があるとよい)
解説: 輝かしき第一章、光の性質に関するフェルマーの
原理の説明です。なんか一杯御託がならんでいて、恥ずかしい。
内容的には、物理を知らなくてもわかると思います。実は、
第二回目の内容と一緒にして出そうとしたのですが、
分量が多過ぎて二つに分けられました。
- 第二章、力学における最小化問題(変分原理)
レベル☆☆ (微分積分の知識が必須)
解説: 第二回目は力学に置ける最小原理(ハミルトンの原理)の
説明。個人的には、とっても思い入れがあります。
基本的には有名なファインマン物理学第3巻の付録のパクリ(?)です。
それから、僕の大好きなSF作家、P. K. ディックからの
引用もあります。力学を知っていることが前提ですが、
知らなくてもなんとなく雰囲気が伝われば、、、、
とにかくこういう文章を書くのが夢だったので、書き終って
満足してます。(自己満足)
- 第三章、ビールの泡を科学する
レベル☆☆ (微分の知識があるとよい)
昔、僕自身が泡の物理について勉強していたことから、
書いた文章。実はトピックス全体を通して、もっとも面白いかも
しれない。少なくとも私の親友であるK先生は喜んで使ってくれました。
題名は、僕がビール好きなことから来ています。
エネルギーがでてくるので、ちょっと力学をかじった人向け。
- 第四章、物理学における単位
レベル☆
単位の話しから、流体力学におけるレイノルズ係数へとながれる
解説です。単位の話しは、日頃の高校生の単位のはちゃめちゃさに
たまったストレスを解放する場でしたね。流体力学は、
高校物理ではやらないので、完全に受験とは無関係です。
僕が学部の時に、学園祭での展示を流体力学をテーマにして
やっていたのを思い出しながら書きました。僕はおもしろいと
おもうけど、皆さんはどうですか?
- 第五章、振り子に関するトピックス
レベル☆☆☆☆ (微分の知識が必須)
ブランコをこぐ時の物理を解説しようかな、と軽い気持ちで臨んだのですが、やっていくうちにそれはとっても大変なことに気付いてしまいました。というわけで、この回は連載されたものの中でも屈指の難解な内容になっています。知っている人が見ればわかると思いますが、高校生に「パラメータ共振」を教えようという、大胆かつ無謀な試みを行なっています。こういう記事は、今までも、そしてこれからも、もうないでしょうねえ。数学に自信のある人は、是非読んでみて下さい。
- 第六章、サイズと時間---力学相似を通して---
レベル☆☆
落体の法則とケプラーの第三法則を力学相似によって説明し、さらに生物学に置ける相似法則へと発展していく野心作。このような高校性向けの解説も過去にはなかったと思います。力学相似はあまり知られていない考え方ですが、とっても面白いのでもっといろんな人に知って欲しいですね。考え方は簡単なので、力学の初歩をかじっていれば、だいだいわかるでしょう。
- 第七章、見えないものを見る---万有引力---前編
レベル☆☆☆ (積分の知識が必須)
地球と物体に働く万有引力を重力とよんでいるわけですが、地球は大きさを無視できない物体にもかかわらず、すべての質量が地球の中心にあるとして重力を計算できるわけを、ちゃんと数学を使って解きます。普通はガウスの法則を使うのですが、ここでは積分をつかってがりがりとやっています。積分の知識が必要ですが、それさえあれば物理を知らなくてもわかります。そもそもは天文学をやるつもりでしたが、分量が多いので分けました。これはその前編です。
- 第八章、見えないものを見る---万有引力---後編
レベル☆☆
万有引力の法則は、なんといっても天文学で大活躍するものです。そこでなんとか初等的なレベルで宇宙の将来の話(臨界密度の導出)をしてみました。高校の範囲でなんとか説明できるのです。そこからさらに「ダークマターの問題」に話を発展させています。この「ダークマター問題」は現在もよくわかっていない問題ですが、最近になってニュートリノの質量が測定されたりして、進展があります。ともかく宇宙論は夢があって、いいですね。
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