大学院(理学系研究科)での授業
(2005年9月25日更新)
2005年度 物性物理学IA(シラバス)
物質の性質を記述する基本的な方法論について学ぶ。物質の構造と分類、原子の結合状態の記述、バンド理論などを中心に理論的な取り扱いを整理する。それを基本としてさらに光学応答やフォノン、輸送特性などを取り扱う。時間があれば、2次元電子系のメゾスコピック伝導などにも触れる。
2005年度 物性物理学IA(講義題目と成績の付け方)
- 第一講 原子・分子
- 第二講 分子(続き)
- 第三講 電子ガス
- 第四講 電子ガス(続き)
- 第五講 単純金属
- 第六講 バンド理論
- 第七講 各種結晶
- 第八講 フォノン
- 第九講 超伝導
- 第十講 輸送特性
- 第十一講 輸送特性(続き)
- 第十二講 測定法
- 第十三講 ランダムネスと局在
授業最終日にレポート提出。授業中に出した問題(数十題程度)から2題以上選んで回答。
2005年度 物性物理学IA(アンケート結果)
レポート提出時に任意で授業の感想を書いてもらった結果。
- わかりやすい講義でした。
- 実は後半のほうは実験のマシンタイムとばっちり重なっていて、半分くらいしか出席していないので、エラそうなことは言えません、、、。「物性物理学」という講義の題目上、浅く広くでいいと思います。自分で勉強してると、どうしても自分の興味にかたよったり、自分の専門にバイアスがかかって基本的なところでも意外と勘違いとかしているものなので、授業に出たり、人の話を聞いたり、ディスカッションするのはすごくためになるなぁ、と最近はよく実感しています。
しかし先生くらいの世代の物理屋にはガンダムフリークが多いですね(笑)うちの研究室でもPD以上の人達はガンプラに目を輝かせます、、、。大学院に入ると学部時代とがらっと生活が変わるもので、実験したり、解析したり、論文読んだり、1日24時間では足りません。このレポートも学会のabstractを提出してからあわてて徹夜で書いたので(爆)誤字が多いことうけあいです。
授業の説明はわかりやすく、頭の整理になりました。ありがとうございました。
- 教え慣れている感じがして、全体的に好感が持てました。項目に分けて、固体物理のいろいろな分野について、話していただけたのも良かったです。
- 想定していたより、ずっと分かりやすくていい授業でした。まぁ、他の先生方の悪口は言えませんが、さすがSEGでバイトしていただけはありますね。ぜひ彼らにも授業の仕方を教えてあげてください。
SFについて。生ける屍の死については、チェックリストに入れておきます。なにぶん古本屋の100円(105円)コーナーでしか本を買わないので(今の本の値段は高いのではないかと思います。)読むのはだいぶ先のことになりそうです。星を継ぐものに関しては同意見です。ジャンプで昔同名のマンガがありましたが、そっちも好きです。ぜひ東大内でSF同好会みたいなものを立ち上げてくださいませ。即かにゅうしますんで。ちなみに私のNo.1はアーサー・チャールズ・クラーク先生の幼年期の終わりです。
- 自分は素粒子をやっているので、一つのことを深くどんどん掘り下げていくより、広く範囲をカバーしてくれたのはありがたかった。また、学部の3年や4年の講義内容とかと重複している部分が随所にあり、そこから始まったので理解の助けとなり、分かりやすかった。余談がおもしろく、印象に残った。
- 全体的に分かりやすい講義でした。基礎から学びたい自分にとって、大変勉強になりました。特に第12講の「測定法」では、様々なプローブで何が見えて何が見えないかが端的にまとめられていて興味深かったです。11時過ぎの余談タイムも、物理に限らない色々な話題があって楽しかったです。ありがとうございました。
- 授業はわかりやすくて良かったです。雑談も物理家として将来どうあるべきかいろいろ考えさせられ良かったです。
- 90分集中力をもたせるのは大変なので、雑談はありがたかったです。
- この講義は、学部の頃にやった固体物理学の基礎に関することの復習をかねつつ、そこからの発展に関して説明していただいたのでとても理解しやすく、スムーズに講義の内容を聞き取れたので実になったと感じています。また講義の雰囲気も非常に良く(毎回の講義に雑談などを入れてくださったため?)、ある意味楽しみながら講義を聴けたと思います。こうしたことをふまえて、非常に充実した講義内容だったと思います。
- おもしろかった。
- この授業は物性の基礎的なことが網羅されていたので、いろいろなことが再確認できて良かったです。また、近似の有無を明確にしてくれていたので見通しが良くなりました。授業展開も余談を挟むことで緩急ができて、ストレスの無いものでした。総じて良い授業だったと思います。ありがとうございました。
- 授業のレベルについては、難しくも易しすぎでもなく、丁度良いくらいだと思った。進度に関してはやや早い気もする(自分だけだろうか)。毎回テーマを区切っているためか、すこしとばして進んでいる気がします。式の計算などはすっとばしてもよいので、実験の話なども含めてやってくれると理解しやすいです。余談の時間は楽しいです。映画の話とか、おもしろいです。他にも、小説の話とか、物理の最前線の話とかも、とても興味深かったです。
- 時間の都合で表紙と感想のみTEXとなってしまった。大変申し訳ありません。さてこの講義を振り返ってみると、個人的には僕の専攻ではないことも手伝ってか、大変丁寧な授業と思えました。専門の人からすれば浅い講義だったかもしれないが、これまで教わってきたことをよく思い返させてくれたと思う。(実は後半はあまり出席できなかったので前半の印象のみで語っていますが)特に興味を引いたのは「雑談タイム」であろう。僕のように集中力のない人間にとっては大変ありがたかったと思います。(内容もオタッキーなガンダム話から核融合炉の問題まで幅広かったし)この講義は学部時代に聴きたかったです。
レポートについては根性なしのぼくは一番簡単な2題を選んでしまいました。それではいくらなんでもということでもう一題余分に選んではみましたが、元来二問要求されていたことから、この一問は自由に解こうと思いまして人に助言を伺うなどしてみました。
- 大学院の授業のほとんどが少し眠い気持ちの中で受けていたのだが、加藤さんの授業は途中に雑談が入るため、それまでがんばろうという気になり、他の授業よりは集中して受けられたのかな?と今振り返ります。来年もおそらくこの授業を講義なさると思うので、雑談というインターバルを是非続けていってください。
- 超伝導についてもう少し詳しくやってほしかったです。自分が好きなのはF91です。
- 非常に簡潔で分かりやすかったです。概論ではなく、強相関系などの難しい問題を通して聞きたかった。
- 私は理学系研究科化学専攻の修士課程で、主に金属錯体を専門としている。
白衣を着て、フラスコやビーカーなどと奮闘している毎日であるので、物理や数学を用いる機会も少ない。そのため、修士課程の講義では専門の化学の講義だけでなく、物理専攻の講義も受けてみようと考え、この物性物理学IAを履修した。
講義の中には化学専攻の私にとっては難易度が高く理解しきれなかったものもあったが、物理の基本的な問題も含まれており、勉強になった。普段、有機合成の実験ばかりやっている分、数式と向かい会うのが非常に新鮮であった。
化学専攻だからと言って物理や数学はやらなくていいという人もいるが、私は物理や数学を基礎から復習し直してみたいと思う。今回の講義のレポートを解きながら、昔は理解していた事柄で忘れてしまっていることもたくさんあると実感した。ということもあり、物性物理学IAを履修したことは私にとってとても意味があった。
今回理解しきれなかった部分も時間をかけて理解できるようになりたいと思う。
- 今回の講義は今までの講義とは違う大きな点が2つあった。それは「講義が各回でちょうど1テーマ分が終わること」「講義の間に小休止(小話)の時間があること」である。一つ目は聞いている側にとって、テーマによってはもう少しつっこんで欲しいと個人的に思うところがあったが仕方ない。2つ目は講義に集中するという点では非常に良かった。小話も身近なことから少し大衆的なことまでとvarietyに富んでおり、共感できることも多々あって楽しむことができた。このような工夫はこれからも続けていって欲しいと思う。あと先生が板書をするときに、ノートを丸写しせず考えながら板書しているので、僕も式をfollowしやすかった。ただし、たまに先生が式があってるか、間違ってるかを確認する時間が長くなるときがあって、講義が中断してしまうようなことがあり、自分の取ったノートが本当に正しいのか不安な箇所がいくつかあるので、それはこれから勉強していきたいと思う。有難うございました。
- 自分の研究テーマとはややずれるだけに、逆に耳学問的な授業が助かります。固体物性を直接やらないだけに、一応の理解は持っておきたいと思って受講しました。
- この講義のお題目は広すぎると常々思っています。もっとしぼった話が聞けた方がうれしいというのが生徒の思いではないでしょうか。と大学側に言いたいですね。
- 今回の講義で私は久々に授業を受けたが、目からうろこが落ちる思いだった。物理学科の講義はこんなものおなのかと。しかし化学科の私には少々難しかった。
- 履修している授業の中で、楽しみにしているものの一つでした。雑談タイムがあるからという理由だけではありません。学部4年生のときは先輩が話していた内容を聞いていても理解できなかったものが多かったのですが、この授業に出ることであのときはこういうことを議論していたんだなという発見みたいなものが何度かありました。ある程度ベースを勉強したというか、今なら去年の先輩の議論についていけそうな感じになりました。あと式変形に終始せず、毎回解釈的なもの(物理的説明)があったのも、刺激的でした。板書も丁寧でよかったです。
- 非常に分かりやすい授業でした。SFは私も好きなのですが、最近読書をほとんどしていなかったので、時間を見つけて久しぶりに読んでみようかと思います。
- 今まで受けた物性の講義の中で一番おもしろかったです。黒板の字も大きくて見やすいし、数式や図の意味する物理的な内容をていねいに説明していただいたのがとてもよかったです。また途中ではさむ余談も個人的におもしろくて好きでした。
- 普段の研究とちがう内容で新鮮な感覚でした。先生の熱意も感じられ、雑談の内容もおもしろかったです。素粒子が専門の僕にもわかりやすく興味を持たせていただきました。今後研究を続ける際の参考にさせていただけたらと思います。ありがとうございました。
- わかりやすく興味をひく講義でとてもおもしろかったです。特に、途中に入れる雑談が毎回楽しみでした。物理学以外にもいろいろ勉強になりました。ありがとうございました。
- 私は素粒子実験の所属で、今までは物性という領域にあまり馴染みがなかったのだが、実験をやる上でどうしても物性の知識が必須であると思ったのでこの講義を受講した。物性の授業というといつも同じことの繰り返しというイメージがあったが、この講義では毎回知らないことばかりでいつも新鮮な気持ちで受講できた。内容もとても興味深く、自己研鑽に役立ったと思う。ただ、実験家の立場から言わせていただくと、時間の都合はあると思うが、もう少し実験関連の話もしてほしかったと思う。最後の測定法の話は興味深かったが、授業の一番最初に話した方がいいと思う。恐れながら提言させていただきます。
- 授業にはほとんど出てませんが、余談は記憶に残ってます。
- 講義の内容が物性の広い領域を扱っているのがよかった。なんとなく物性の一通りのことが見渡せた気がする。講義の中間に雑談の時間をいれるのがよかった。第四講までの講義はもう少し速く進めてもよいかもしれない。夏学期13回の講義どうもありがとうございました。
- 板書がしっかり整理されていて良かったと思います。雑談の内容はもう少し物理の小ネタであれば良かったと思います。
- 基礎的なところをカバーしつつ、様々な分野についての話があり、大変興味深い余談も毎回あってとてもよかったと思います。また、自覚があるのかわかりませんが、なんとなく教えようという熱意が伝わってきたような気がします。いろいろと思うことがあると思いますが、これからもがんばってください。
- 内容に関して言えば、深い部分までていねいに説明してくださったので良かったです。ただたまに板書にミスがあるときがあったので、その辺を気をつけて欲しいと思います。合間にある映画の話などの雑談は、集中力がきれかけている時の良いリラックスタイムとなりました。
- 現在素粒子物理の実験の研究室に所属していますが、実験をやるうえでは結局検出器というものが重要で、検出器を理解するためには物性の知識が必要で、そのためにこの授業をとりました。この授業ではとても強い熱意を感じたので話を聞くのも楽しく、色々な物性の分野を勉強していくにあたってのきっかけになったと思います。
- 実験系として、物理の考え方が高まった。聞いていて楽しかった。自分で勉強するときも、この授業を聞いた後だと、全体がわかっているのでやりやすい。先生は話がうまいと思った。
- レポート問題、本当はもっと解きたかったのですが、四題が私に与えられた時間と能力の限界でした。しかし実際にやってみると、本当に計算が厄介なところばかりをピンポイントでレポートにしてあるなぁと感じました。非常に
意地悪教育的だと思います。東大では初めて講義を担当されたとのことですが、全体的にとてもわかりやすかったです。また先生のように講義中に雑談を差しはさんで自分の考えを語ってくださる先生が増えてくれればと思います。どうもありがとうございました。
- 東大に入学してはじめて受けた授業がこの授業でした。感想はわかりやすい、おもしろいでした。こんな環境で最初からいる内部の方々が本当にうらやましく思い、同時に、入学してよかったと思いました。黒板に書く字も見やすく、授業の合間の小話も好きでした。六月になってからは研究も忙しくなり、あまり出席することができなくて非常に残念でしたが、ノートは友人から見させていただきました。
- 「Masterキートン」を読みました。
- 授業内容は基礎部分からの内容でとても勉強になり、また、授業の進み具合も速くも遅くもなくとても分かりやすかったです。また、授業の中間でのお話も集中力の切れる時間に行ってくださってありがとうございました。
- 物性物理の幅広い範囲を網羅し、そして整理されていてとてもわかりやすい授業でした。なんとなくわかってしまったかのような気持ちにさせてくれる授業でした。授業の合間の余談も、集中力を持続するために効果的だと思います。先生の趣味、最近考えていることなどを楽しく聞くことができました。
- 今まで断片的に学んできた事項がこの講義によって統合され、知識をまとめることができた。ただ、多くのことを基本的なところからまとめなおしたためにあまり新しい事柄がなかったとも思われる。個人的にはもう少し学部の講義では扱えなかった内容を組み込んでいただけるとさらに面白い授業になったと思う。
- とてもわかりやすい授業でした。大学の授業というと、学生にわかってもらおうという意欲のある先生が少ないという印象でした。しかし、先生の授業は非常に熱意にあふれていて良かったです。また雑談も面白かったです。特に「マスターキートン」の話をされたときは、僕も全巻読んだことがあるので、非常に共感できました。もう一つ、先生の授業でいいと思ったのは、「マスターキートン」のように一話完結型であったことです。普通の授業だと一回休んでしまうと、次に出ても何をやっているのかさっぱり分からなくなるのですが、先生の授業ではそういうこともなく、休んだ後でも授業にでようという気になれました。
- 多体系を扱おうとする理論の先達の工夫は、やはりいつみてもおもしろい。どうすればこういう様々な考え方が浮かぶのだろうか。現代はコンピュータが登場したので、こういう工夫よりも直接数値計算で解いてしまえる、という側面もあるが、今度はいかに有用なプログラムを書くか、という別の問題もあらわれてくる。こうなると科学も時代ごとのトレンドがあるということがよく理解できる。そういうことを感じた。それとは別に余談が楽しめました。Zは私は残念ながらまだみてませんが。
- 授業の最初に、今私達が持っていると思われる知識に対して、疑問を投げかけてくれると、これからやろうとしている内容へのやる気があがったかと思います。頭から「じゃぁ、今日は〜をやるので」と言われると、こちらとしては「はいそうですか」くらいにしか感じません。「二粒子のシュレーディンガー方程式をどうやって解くのか?」と投げかけて、少し考える間(10秒程度で良いと思います)を与えてくれると、これからやるHartree近似にもありがたみがわきそうです。知識を教え込むのではなく、疑問を持ち、それを解決させるという流れは、23才の私たちでも大事なことではないでしょうか?
雑談のなかで印象に残ったのは、ヒカルの碁の話の時に言った「物理に魅入られる」という言葉です。それだけでもこれからこの道で続けていくことにためらいを感じましたが、そこまで思っている人でもやめようと思ったことがある(マスターキートンでの話)のでは、いよいよ将来をもう一度考える必要がありそうです。