レポートNo.2に寄せられた疑問・感想
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赤い部分は、講義者(加藤)によるコメントです。
- エントロピーを忘れかけていたのが復習できてよかった
- 授業に出ることができなかったので、次回からはしっかりと出たい
- およそ0[K]が最も低い温度ということですが、これは実験によって得られたのか、あるいは自然界で観測されたのでしょうか。
とてもいい質問です。答えからいうと、「自然界にはエネルギーに下限はあっても上限はない」という事実から、「通常の熱平衡状態では負の絶対温度を持つ状態は不自然な結果をもたらす」ことを示せます。この点は、あとで正準統計を考えたときにもっと明らかになるでしょう。しかし、あとで授業でも触れる予定のスピン系に関しては、エネルギーに上限があります。この場合には、特殊な状況をつくってやることで「負の温度」なる状態をつくることができます。この点についての詳しい解説は、たとえばここや久保亮伍著「大学演習 熱・統計力学」(裳華房)の278ページにのっています。しかしこのような状態は、そとから光をあてたりしなければいけないので、通常の熱平衡状態とはだいぶイメージが異なってきますけど。
もし実験によって0[K]の状態を作り出せるのなら、どのようにして冷却していくのでしょうか。
冷却にはいろいろな方法があります。一番わかりやすいのは、液体ヘリウム(沸点4K)にじゃぼっとつけることです。もっと低い温度にしようと思ったら、減圧して断熱膨張を起こさせたりします。ほかにもいろいろと方法があるようですが、いずれの方法をとっても、正確に0Kにはできません。今のところ最低温度はナノケルビン=10-9ケルビンくらいかな?たしか、、、
- 熱接触ではどんな様子でエネルギーをやりとりしているのですか?
わかりやすくするために二つの気体容器の熱接触を考えましょう。壁の温度は、左右の容器内の気体温度の中間にあることは認めてください。左側の容器の気体温度が高かったとします。すると左側の容器の気体分子は壁の原子と衝突するのですが、そのとき、左側の気体分子は、加速、または減速します。壁の温度は、左側の容器内の気体温度より少しひくいので、このとき、長い目で平均してみると、左側の気体分子は減速して、その分の運動エネルギーを壁の原子の運動エネルギーに渡します。逆に右側の容器の気体分子は壁にぶつかるとやはり減速、または加速しますが、壁の方が温度が高いので、長い目でみると、右側の気体分子は加速して、その分の運動エネルギーを壁から奪います。このようなことが起こって、エネルギーの移動が生じます.
- わかりやすく、よい授業だった
- やはり前回に続いて退屈させられない楽しい授業だと思いました。
- 今までエントロピーというものがどんなものか感じすらわからなかったですが、今回の授業でなんとなく分かったような感じになりました。
- 授業中たまにでてくる「当面理解しておく」という内容をもう少し詳しく説明してほしいです。
ここは悩ましい点なんですよ、、、私がそのようにいうときは、理由があります。ある場合には、今その説明をすると学生が混乱してしまうから、ですし、またある場合には、後から見返せば自然にわかるようになるからです。うーん、、、どうしても知りたいときは、はやり本を読み解きましょう。
- 時間くらい守れないのですか?
これは授業の若干の延長をいっているのでしょうか?私としては、時間どおりに終わるように心がけていますが、どうしても中断させたくない場合には、5分程度の延長はやむなしと思っています。今日は5分の延長でしたが、やむ終えなかったと考えます。この点は、ご了承ください。ただし、たしか第二講のときにやったような5分以上の延長はもうしませんので、その点は安心してください。反論がありましたら、また意見をお寄せください。
- 早く統計力学演習に追いつかせてください。
もうだいぶ追いつきましたよ〜
- 今日の授業の内容はわかりやすい内容が多かったので、特に疑問点もなかった
- 温度の定義がそれぞれの力学ごとにことなることを初めて知った。あと、たまにおっしゃるギャグ、ナカナカです。
- 温度(熱エネルギー)が高いほうから低いほうに移るというのは、経験上知っていたので、とっつきやすかったです。エントロピーの概念もある程度理解しつつあるので、今回の授業は飲み込めたように思います。[dS/dE]に関するところは、要復習です。
- 基礎教育科目で勉強した物理化学や基礎物理学でエントロピーというものが出てきましたが、そのときはいまいちよくわかっていませんでした。今度こそちゃんと理解したいと思いました。
- 物理の中でもいろいろな分野別に同じ物事を捉えてみるのは、新たな発見や感覚があっておもしろいです。
- 余談がおもしろくて、授業の休憩としては最高だと思います。
- あまり理解できていないようなので、理解できるように努めます。
- レポートの解答をしてほしいです。
- 毎回、とても分かりやすい説明でとても良いです。
- もっと例題を出していただいたほうが、理解しやすいし、やっていることが分かる
- 特になし
- 特になし
- 特になし
- 核融合発電の話が非常に興味深かったです。しかも成功した例が水爆というのも驚きです。初めて知りました!
- 温度の定義:f(T)=dS/dEをしたことにより、熱平衡状態では一つの温度が存在し、任意の同じ温度をもつ物体と熱接触したときには、エネルギーのやりとりは生じないということを満たすことができることに感動した。
よかった。あそこは頑張って工夫したんだけど、こういう感想がよせられて、ほっとしてます。
- 余談は興味深いものがあります。授業ペースは今ぐらいでお願いします。
- 状態数は掛け算なのに、エントロピーは足し算なのがよくわからない(イメージが)
うーん、、、イメージがそもそも浮かびにくいところかもね。式として理解しておいたほうがいいんじゃないかな。ともかくエントロピーの方が、状態数より圧倒的に計算しやすいことは理解しておいてくださいね。
固体の状態数が増えるとは、何が増えるのか?(具体的に)
ここは説明をはしょりました。来週少しだけふれることにしましょう。
- ノートをとりやすく、わかりやすいです。
- ノートを取るのに忙しくて、話を聞くほうにあまり集中できませんでした。
ノートを頑張ってとってください。後でゆっくり読み直すのがいいと思います.
- エントロピーが出て、少しややこしくなった
- 授業を休んでいたため、わかりません(T_T)
授業に出てくださいね
- 特に問題のあるようには感じませんでした。
- けっこうわかりやすくて、いい授業です。
- 改めてエントロピーを定義したボルツマンはすごいと思った。しかもいろんな要請からdS/dE=1/Tなんていうことを導いたのもすばらしい。
- 今日の授業はわかりやすかった。例を挙げて、場合の数、エントロピーの計算や、温度の定義も理解できたと思います。(黒板に赤、青のチョークでかかれると、かなり見にくいのですが、、、)
え、青のペンもだめですか?そしたら、黒一色になってしまう。。。。。うーん。
- 一週間あくと授業の流れをつかむのは難しい。統計力学の温度の定義はだいたいのことは理解したが、相変わらず何をかいているのかみるので、必死です。
- 特になし
- 温度の定義がこんなにあいまいなものだとは知りませんでした。
- まだついていけてます。取り残されないようにがんばります。
- 特になかったです
- 今日の授業のところはだいたい理解できたと思います。
- わかりやすかった。式の途中の説明もきっちりしていてよかった
- 授業でホワイトボードの字が大きいので、みやすいので助かります。黒板をただ書き写して終わりといった授業じゃなくて説明が多く、とてもわかりやすい授業だと思います。
黒板書き写すだけの棺おけに片足つっこんだ授業(友人の言葉から無断借用)は絶対したくないです。
- 統計力学演習の授業もうけているのですが、演習の方が早いので早く演習の方においついてほしい。とても分かりやすい授業ですが、授業中生徒に「これ何やったっけ?」って聞くので、気が抜けません。
ほどよい緊張感があるほうがいいみたいですね(笑)
- 日常よく見る現象でもその定義となるとあまり知らないと思いました。
- 一次近似がなぜああなるか、習ったときはわかっていたのですが、すっかり忘れていました。授業で思い出すことができました。エントロピーもまた今度復習しようと思いました。
- 赤い字が見えにくい
できるだけ使わないようにします、、、、鮮やかなのでついつかっちゃうんですけど、、、
- この調子でわかりやすい授業、わかりやすいレポートを期待しています。あと雑談も期待しています。
はい、雑談は毎回ちゃんと仕込んでいきたいです。
- 今までと同じような授業をお願いします。雑談もgoodです!
- 今回のところは、温度の定義についての話だったけど、エントロピーを使っていたりして、今までのところより難しかった。
- これまでよく出てきた物理学では、「当然」な事とかを、わざわざ難しく定義したり、数式を使って証明したりしてきたけど、「統計力学」では、そんなことを「経験的に」成立する(まだ難しい言葉で定義はしているが)として物事を考えているのが、変な意味で新鮮に感じた。
難しい言葉をあえて使うのは、意味をとても限定したいからです。例えば、「仕事」という言葉がありますが、これは難しくない言葉であるがために、返って誤解されかねません。だって、重いものをずっと支えていても、物理的には「仕事をした」とはいわないから。こんな具合なので、難しい言葉を使ったほうがはっきりすることもあるんですよ。
- 現在統計力学の基になっている実験標本はいつごろから始まったものなのか気になりました。
そうですね、、、統計力学は原子や分子を対象としていますから、それらが実験対象になりはじめた時代のことですね。1800年代半ばぐらいじゃないでしょうか。
- 今回の授業はわかりやすくてとてもよかったと思う。
- 今回の講義では、温度の定義を扱ったが、温度といえどもさまざまな定義の仕方があることを知って、温度についてあまり自分はよくわかっていないと思った。基本的で身近なものであるけれども、温度って一概には語れないことがわかった。ちなみに僕は温度とは何かとはじめに聞かれたとき、水銀の膨張が頭に浮かんでいた。
そうなんですよね。温度って、身近にあるのに、よく考えたらなんなのかよくわからないんですよね。そういうことを真面目に考えて見たくて、ああいう授業にしました。
- レポートの解答はしないのでしょうか。なにを理解して覚えればよいのかわからないので、例題を出して示してほしいです。
レポートは採点の上、返却します。解答も用意しようかと考えています。現在は、例題を出せるほど進んでいませんが、もう少し後で、授業内演習をしますんで、そこで例題を解いてください。
- ナシ
- 最近難しくなってきたように思います。あとは黒板の字を大きく書いてくれたら幸いです。赤文字がすごくみにくいです。できれば青でお願いします。
- N, V, Eが与えられた断熱系では、十分に時間がたつとただ一つの熱平衡状態に達するとあったけど、その熱平衡状態がマクロに変化がおこらない状態というのがよくわかりません。
マクロな物体を断熱環境で放置すると、最後には、落ち着くはずですよね?例えば気体の容器を放置したとき、そとから何もしなければ、容器内の風とか、場所による温度や密度の差とかは、なくなって、一様な状態が実現しますよね。そうなってしまうと、再び風がふいたり、場所によって温度や密度の差が生じることはもう二度とないですよね。そのような、マクロにはもう変化が起こらないような最終状態を熱平衡状態と呼んでます、、、これで納得できますか?
- 核融合に関することは具体的でないにせよ(計画とか予算とか)少しは聞いていたのですが、あそこまで温度が高いと、、、ただエネルギー問題はこれからの重要な課題だと思うので、代替エネルギーはどうしても必要だし、興味深かったです。後、温度の定義は熱力学で習ったよくわからないエントロピーがああいった形で含まれているのは驚きました。
エネルギー問題はまさにあなたたちの世代で重要になる問題です。関心をもっておくべきだと思っています。クリスマスちかくになると、多くの街がイルミネーションで飾られますが、私はそれを素直にきれいだとは思えなくて、複雑な心境で眺めています。
- 今までは温度の定義についてほとんど考えたことがなくて、今回の授業で深く考えることができた。でもdS/dE=1/Tと結論がでてきたけど、それが本当に温度を表しているのか、というところが少し疑問だったので、しっかり理解したいと思った。
次回の授業でこれについて触れてみたいと思います。
- 今回のレポートはとても簡単だった。これも授業がわかりやすいおかげかな、、、。
- モル比熱がほぼ一定になるので、ここでもdT∝dU=dQ+dWが成立しているのだろうと思いました。おそらく3nRT/2
× 3 = Uでも固体なので、ポテンシャルも考えないとだめなのかなと思いました。(気体みたいに他の分子の影響をうけないとは考えにくいので)上の式はダメで、dU=3nRT/2
× dT + dVになるのかなと思った。レポートの問題1でモル比熱が少数桁でばらついたのはどうしてだろう?もっと重い原子や軽い原子ではどうなるのでしょうか?
えっと、固体では体積はほとんど変化しないからdW=0ですよね。それで、、、3nRT/2はいいんだけど、×3ってなんでしょう?これはいらないよね。これはないと思って考えると、大筋で君のいっていることは正しいですよ。それからモル比熱がばらついているのは、レポート問題にものっけたように、低温で比熱が下がるからです。だから、正確に3Rではなくて、少しだけそれより下がっていますし、そのずれは物質によって異なってきます。それから問題で紹介した固体の比熱の大まかな特徴は、原子の種類にそれほどは依りません。固体であるならば、原子の重い軽いにかかわりません。ただし授業でやった原子の典型的な角振動数ω0は原子によって変わるので、その分の変化はあります。
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