加藤研究室では、固体中の様々な量子輸送特性の理論研究を行っています。最近は主にメゾスコピック系およびスピントロニクス分野の研究を展開しています。

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研究室メンバー
| 氏名 | 役職 | メール |
|---|---|---|
| 加藤 岳生 | 准教授 | kato_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
| 佐野 涼太郎 | 助教 | r-sano_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
| Pezo Lopez Armando Arquimedes | 特任研究員 | apezol_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
| 劭聡 陸 (Shaocong Lu) | 特任研究員 | sc.lu_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
| 佐藤 哲也 | 事務補佐員 | satotetsuya_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
| 山田 耕史 | 社会人博士 | yamada-koji_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp |
| 西村 直樹 | D3 | n.nishimura_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
| 村林 史啓 | D2 | fumi1263_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp |
| 福嶋 拓海 | D2 (押川研より移籍) | |
| 奥山 竜司 | D1 | okuyama-ryuji17_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp |
| YAO, Ching-Yu | M2 (押川研より移籍) | |
| 市川 大瑚 | M2 | ichikawa-daigo0310_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp |
| 李 信霆 | M2 | leexintheng_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
| 戸谷 将人 | M1 | mtodani6206_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp |
| 名和 大智 | M1 | nawa-daichi208_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp |
| 多田 靖啓 | ISSPリサーチフェロー | |
| 古谷 峻介 | ISSPリサーチフェロー | |
| 山本 剛史 | ISSPリサーチフェロー | |
| 江口 浩子 | 秘書 | eguchi_at_issp.u-tokyo.ac.jp |
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最近の研究から
- ラシュバ・エーデルシュタイン磁気抵抗の微視的理論

ラシュバ・エーデルシュタイン効果に起因する磁気抵抗は、スピン軌道相互作用を利用した新しい電気伝導現象として注目されているが、その微視的な起源は十分に理解されていなかった。本研究では電子のスピンと運動量の結合に基づくモデルを用い、ラシュバ・エーデルシュタイン磁気抵抗を統一的に記述する理論を構築した。散乱過程やスピン蓄積の寄与を詳細に解析することで、磁気抵抗の発現機構とその物質依存性を明らかにした。本成果はスピン軌道相互作用を活用したスピントロニクスデバイス設計に重要な指針を与える。Microscopic theory of Rashba-Edelstein magnetoresistance, M. Yama, M. Matsuo, and T. Kato, Phys. Rev. B 111, 144416 (2025). (Preprint: arXiv:2409.00874)
- カイラルフォノン誘起スピンゼーベック効果の理論

スピンゼーベック効果は温度勾配によってスピン流が生じる現象として知られているが、その起源や制御機構には未解明な点が多く残されている。本研究では音響カイラルフォノンに着目し、それらがスピン角運動量を運ぶことでスピンゼーベック効果を活性化する新たな機構を理論的に提案した。フォノンのカイラリティとスピン流の関係を定量的に解析することで、従来とは異なるスピン流生成の可能性を示した。本成果はフォノンとスピンの結合を利用した新しいスピントロニクスの設計指針を与えるものとして期待される。Theory of spin Seebeck effect activated by acoustic chiral phonons, N. Nishimura, T. Funato, M. Matsuo, and T. Kato, J. Magn. Magn. Mater. 630, 173386 (2025). (Preprint: arXiv:2505.23083)
- 単一エッジにおけるエニオンブレーディングの理論

一般にエニオンのブレーディング(交換操作)は複数の経路やエッジを必要とするが、本研究では分数量子ホール系の単一エッジ上においてエニオンブレーディングが観測可能であることを理論的に示した。量子ポイントコンタクトを含む実験的に実現可能なセットアップを考え、電流ノイズや相関関数を解析することで、エニオン特有の統計位相が物理量にどのように現れるかを明らかにした。従来よりも簡便な構成でエニオンの非可換統計に迫る手法として、将来的なトポロジカル量子計算への応用も期待される。Anyon braiding on the single edge of a fractional quantum Hall state, F. Ronetti, N. Demazure, J. Rech, T. Jonckheere, B. Grémaud, L. Raymond, M. Hashisaka, T. Kato, and T. Martin, Phys. Rev. Lett. 135, 146601 (2025). (Preprint: arXiv:2503.17008)
- 光パルスによって駆動された非平衡スピンノイズの理論

一般にノイズは測定において邪魔な存在とされるが、ノイズに重要な情報が含まれる場合がある。本研究では光ポンププローブ法を用いて磁化のノイズを計測する新手法を理論的に提案した。ノイズを量子マスター方程式によって定式化し、光パルスによって駆動された強磁性体の非平衡スピンノイズを具体的に計算することでノイズ強度に「磁化の量子化」の情報が含まれていることを明らかにした。本研究は近年進展が著しい光計測技術の新しい応用先として有望であると期待される。Fluctuations in Spin Dynamics Excited by Pulsed Light, T. Sato, S. Watanabe, M. Matsuo, and T. Kato, Phys. Rev. Lett. 134, 106702 (2025). [Preprint: arXiv:2405.10522]. プレスリリース
- 物質の曲げによって生じるスピン軌道相互作用の一般理論

物質を曲げたときに物質中で生じるスピン‐軌道相互作用の一般理論を群論に基づいて構築した。この理論によって、物質中に曲げ(曲率)が導入されたとき、波数空間中の対称性の高い線や点に対してスピン分裂が生じるかどうかを判定することができる。具体的にカーボンナノチューブおよびシリコンナノチューブにおける曲率誘起スピン‐軌道結合の大きさを強束縛近似の範囲で見積もり、群論で得られた結果と整合することを示すとともに、ディラック点やバレーに依存したスピン‐軌道結合を実現できることを具体的に示した。Curvature-induced valley-dependent spin-orbit interaction, A. Yamakage, T. Sato, R. Okuyama, T. Funato, W. Izumida, K. Sato, T. Kato, and M. Matsuo, Phys. Rev. B 111, 045121 (2025). [Preprint: arXiv:2304.12928].
- 非磁性キラル絶縁体界面における熱・スピン変換の理論

キラルな結晶結晶構造をもつ絶縁体(キラル絶縁体)に熱を流すことで隣接する金属へスピンが流入するという最近の実験結果をよく説明する新たな理論を構築した。キラル絶縁体中の電子スピンとフォノンの磁気回転効果に着目してスピンとフォノンの相互作用を導出し、金属‐絶縁体界面におけるスピン流の微視的公式を導いた。本研究で解明したキラリティ誘起のスピン生成機構は重元素を必要としないため、重元素を用いないスピントロニクス素子の開発に大きく貢献すると期待される。Chirality-Induced Phonon-Spin Conversion at an Interface, T. Funato, M. Matsuo, and T. Kato, Phys. Rev. Lett. 132, 236201 (2024). [Preprint: arXiv:2401.17864]. プレスリリース