強磁性絶縁体から超伝導体へのスピン注入

超伝導体中では熱励起した準粒子を介してスピン輸送が可能であり、スピン緩和長が長く、散逸の少ないスピントロニクス素子への応用が期待されている。ごく最近になって、強磁性絶縁体から超伝導体へのスピン注入実験が行われるようになった。そこで強磁性絶縁体と超伝導体の相互作用を簡単な交換相互作用で記述し、摂動論によってスピン流を計算した。スピンポンピングによるスピン流は、超伝導転移直下でコヒーレント因子に由来してピークを持つことを示し、スピンゼーベック効果についてもスピン流の温度依存性を議論した。また、スピン流の非平衡ノイズを、現実的な実験パラメータに対して見積もった。
Takeo Kato, Yuichi Ohnuma, Mamoru Matsuo, Jerome Rech, Thibaut Jonckheere, and Thierry Martin, Microscopic theory of spin transport at the interface between a superconductor and a ferromagnetic insulator,  Phys. Rev. B 99, 144411 (2019). (Preprint: arXiv:1901.02440)