サブバンド描像に基づく新しい高次高調波発生の量子理論

固体中における高次高調波発生のメカニズムを理解するために、強い光による電子の駆動現象を理論的に考察し、現在広く用いられている半古典模型(3ステップ模型)では記述できない新しい量子特性を予言する理論を構築した。固体中での強い光によって生じるサブバンド描像を用いることで、サブバンド間に新しい量子振動現象が現れることを初めて示した。この新しい理論は、高次高調波発生におけるプラトー構造を自然に説明できるだけでなく、動的局在や動的フランツ-ケルディッシュ効果などの従来の非摂動論的領域における非線形現象の諸概念との関係を明らかにすることができる。
T. Tamaya and T. Kato, Sub-band picture of high-harmonic generation in solids, Phys. Rev. B 100, 081203(R) (2019). [Preprint: arXiv:1906.00596