乱れのある1次元ジョセフソン接合列におけるマイクロ波散乱

複雑な量子多体問題は一般にそのまま解くことは困難である。そこで、元の複雑な模型の代わりに制御性の高い人工量子系に置き換えて考える量子シミュレーションという試みが近年注目を集めている。その中でも、超伝導回路はその高い制御性から最適な舞台の1つとして注目されている。超伝導回路にあるランダムな電荷は通常では、いわゆる”綺麗”な実験にはジャマ者と見なされ嫌厭されるが、本研究では、これを逆手にとり、不規則系の物理のシミュレーションとして考えた。特に本研究では、1次元ジョセフソン接合列を考え、マイクロ波散乱を通して調べることで、ジョセフソン接合列に潜む興味深い物質相である「ボーズグラス」のダイナミクスを明らかにすることができた。T. Yamamoto, L. I. Glazman, and M. Houzet, Phys. Rev. B 103, 224211 (2021). [Preprint: arXiv:2012.00305].