スピンホール磁気抵抗効果の微視的理論

金属と磁気絶縁体の接合によって新たに生じる磁気抵抗(スピンホール磁気抵抗)は、磁性体の磁化の向きの情報を検知する有力な手法として長年注目されてきた。本研究では、スピン磁気抵抗の微視的理論を構築し、その温度依存性が磁性体中のマグノンの生成・消滅に起因する動的スピンゆらぎと関係づけられることを始めて明らかにし、実際に金属・反強磁性体接合系で観測されているスピン磁気抵抗の温度依存性をよく説明することを示した。さらに熱スピン流ノイズとスピンコンダクタンスの間に成り立つオンサーガー関係式も導いた。
T. Kato, Y. Ohnuma, and M. Matsuo, Microscopic theory of spin Hall magnetoresistance, Phys. Rev. B 102, 094437 (2020). [Preprint: arXiv:2005.14494].