近藤量子ドットにおける断熱ポンピング

量子ドット系における断熱電荷ポンピング(2つの電極の電位や温度をゆっくりと断熱的に動かす時に電荷が電極間を運ばれる現象)は、電流標準や単一電子生成実験などで応用されており、多くの研究が行われてきた。本研究では、任意の大きさの電子間相互作用についてポンプされる電荷量を定式化し、電子相関効果が強い状態における電荷ポンプのメカニズムを初めて明らかにした。また繰り込まれた摂動論を用いて、電荷ポンプ量を評価した。本研究はデバイス応用上重要になるだけでなく、微小量子熱機関の基礎理論構築の第一歩としても重要であり、そこでの熱効率評価は今後の重要な課題である。
Masahiro Hasegawa, Takeo Kato, Effect of Interaction on Reservoir-Parameter-Driven Adiabatic Charge Pumping via a Single-Level Quantum Dot System, J. Phys. Soc. Jpn. 87, 044709 (2018).