研究室メンバー

 

加藤 岳生 准教授 kato_at_issp.u-tokyo.ac.jp
玉谷 知裕 JSTさきがけ研究員(専任) tamaya_at_issp.u-tokyo.ac.jp
山 正樹 D2 yama_at_issp.u-tokyo.ac.jp
石川 卓門 D2 takuto-ishikawa_at_issp.u-tokyo.ac.jp
佐藤 哲也 D1 satotetsuya_at_issp.u-tokyo.ac.jp
山田 耕史 D1(社会人入学) yamada-koji_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp
西村 直樹 M2 n.nishimura_at_issp.u-tokyo.ac.jp
細川 海慈 M2 hosokawa_at_issp.u-tokyo.ac.jp
村林 史啓 M1 fumi1263_at_g.ecc.u-tokyo.ac.jp
江口 浩子 秘書 eguchi_at_issp.u-tokyo.ac.jp

最近の研究から

加藤研究室では、メゾスコピック系というミクロとマクロの狭間でみられる系の非平衡輸送特性を主な研究対象とした理論研究を行っています。最近ではスピントロニクスの理論研究も活発に行なっています。少し前の研究成果はこちらをご覧ください。

超流動異常相での非平衡粒子流ノイズ

強い引力相互作用を有する2つの冷却フェルミ原子気体を弱く結合された系で生じる粒子の流れについて、非平衡ノイズ(ショットノイズ)とよばれる粒子流の「ゆらぎ」の理論を構築した。強い原子間引力により伝導キャリアが従来の1原子から2原子ペアへ変化している可能性に着目し、ショットノイズと粒子流の比で与えられるファノ因子の値から一回の輸送プロセスで移動する有効原子数を判別できることを明らかにした。本研究成果は冷却フェルミ原子気体に限らず非従来型の強相関超伝導の伝導プロセス解明においても有用であることが期待される。Nonequilibrium noise as a probe of pair-tunneling transport in the BCS–BEC crossover, H. Tajima, D. Oue, M. Matsuo, and T. Kato, PNAS Nexus 2, pgad045 (2023). [Preprint: arXiv:2202.03873].

スピンホール磁気抵抗の量子モンテカルロ法による数値計算

スピンホール磁気抵抗(SMR)は強磁性絶縁体と常磁性金属を接合させた系で生じる磁気抵抗効果であり、磁気デバイスへの応用が期待されている。これまでの理論では、スピン混合コンダクタンスとスピン拡散に基づく現象論が用いられてきたが、温度依存性を議論することは困難であった。本研究では擬二次元反強磁性絶縁体と金属の接合系を考え、非平衡グリーン関数を用いた微視的理論を用い、量子モンテカルロ法によってSMRを数値的に評価し、温度・スピンの大きさ・膜厚・乱れなどの依存性を明らかにした。Spin Hall magnetoresistance in quasi-two-dimensional antiferromagnetic-insulator/metal bilayer systems, T. Ishikawa, M. Matsuo, and T. Kato, Phys. Rev. B 107, 054426 (2023). [Preprint: arXiv:2208.08096].

量子連続測定下の2準位系を介した熱輸送

2準位系を介した熱輸送における量子観測のバックアクション(反作用)を理論的に考察した。まず、2準位系の固有状態への連続射影を考え、測定値の情報を捨て去る場合にはバックアクションは位相緩和として記述できることを示した。さらにバックアクションの効果を直接見るために、測定値と熱流の交差相関を確率マスター方程式から導出した。これらの結果は超伝導量子ビットを含む超伝導回路において、現在の実験技術で十分に測定が可能である。Heat transport through a two-level system under continuous quantum measurement, T. Yamamoto, Y. Tokura, and T. Kato, Phys. Rev. B 106, 205419 (2022). [Preprint: arXiv:2208.08755].